疫病と都農神社
ちょうど2年ほど前に都農神社と疫病との関係性について検討していた。その内容を整理する。
都農神社は疱瘡(天然痘)治癒にご利益がある神社として知られてきた。現代では疱瘡治癒のご利益に対するありがたみはあまり感じられないかもしれないが、近代に入るまで天然痘との戦いは重要な問題であった。
天然痘は6世紀ごろに渡来人とともに日本に入ってきた。それ以来流行を繰り返しながら定着していく。天然痘は致死率が30%と極めて高く、また1人あたり平均5人にうつすため感染力も極めて高い。19世紀半ばに種痘が始まるまでは、天然痘とは常に戦い続けていたのだ。近代にはいるまで天然痘の原因がわからず、神の怒りだと理解されてきた。都農神社でも吐乃大明神の怒りとして捉えられていた。
都農神社のご利益は疫病との戦いの歴史の証跡である。