ひょうすんぼ

宮崎の田舎町、都農町についてとその他色々

民俗学と郷土研究

 

 恐らく郷土研究を行っている人は江戸時代からいたであろうが、流行を見せたのは1930年代に入ってからである。国家主導のもと郷土愛を育み、愛国心を育てるために推し進められた。

 そういった地方の郷土史家達の研究をまとめあげたのが、民俗学者柳田国男である。「日本伝説名彙」として辞書的に各地の伝承をまとめあげ、比較することを可能とした。

 しかしこうした柳田を中心とした民俗学は柳田の死とともに衰退し、現在では柳田の系譜を継ぐものは少ない。現在の民俗学はドイツやアメリカなど外国の民俗学の影響を受けている。現在の民俗学研究の手法については島村恭則氏の「フォークロア研究とは何か」(『日本民俗学』278号、2014年)に詳しい。

 柳田の民俗学が衰退すると一方で地方の郷土史家も減少し、郷土史家達を柳田のようにまとめあげる者も存在しない。そのため各地の郷土史家が孤立しているような状況が生まれている。柳田のように再度郷土史家をまとめあげようという動きもあるようだが、いまだ模索の段階にあるようだ。またネットという新たな伝承の場(下記リンクなど)も生まれつつあり、単に柳田の「日本伝説名彙」を改編するのでは不十分である。民俗学と郷土研究の関係について再考することが求められているように思う。

爺さん婆さんから聞いた幕末明治大正昭和の話5