塵添壒囊抄 考察
2週に渡って紹介し た塵添壒囊抄の説話はどのような経緯で生まれたのであろうか。
説話から伺われることは、大きく5つある。
①都農神社成立の権威付け
神功皇后の遠征において勧請されたという形で権威づけをしている。
②航海の安全というご利益
船の守り神として勧請されていることを見るに航海の安全というご利益があったと思われる。おそらく近隣の航海や漁にあたって尾鈴山が目印となっていたのであろう。
③疱瘡(天然痘)の大流行
二人になってしまったというのは、過剰な表現ではあると思うが、疱瘡の大流行により人口が激減してしたことが伺える。
④疱瘡治癒のご利益
疱瘡の流行が収束したのちに、疱瘡治癒のご利益を謳う説話が生まれたと思われる。
また柳田国男の著作に山の背くらべをする逸話が数多く出てくるが、疱瘡と山の背くらべも同系統の逸話であり、そういった逸話の流行が都農に及んでいたことが伺える。
⑤東南アジア?
「頭黒」という謎の存在が登場するが、地中から頭を出すという類型の逸話は東南アジアや台湾に見られるものであるという話しを何かで読んだ。(思い出し次第追記します)東南アジア系の逸話の流行が都農にまで及んでいたことも伺える。