都農と津野④ 問題点
都農の地名の由来ついて漢字と読みの両方から以前考察したが、これには問題点がある。以前考察したときから考えてはいるが結論が出ないので、とりあえず整理しておく。
吐濃(トノ)→都農(トノ)→都農(ツノ)←津野(ツノ)
そもそもこの考察の出発点は、「都農」を「ツノ」と読むということに疑問を感じたところにある。しかし用例は多くないが、「都」は「ツ」とも読む。例えば「都合」は「ツゴウ」と読む。また都農からほど近い西都市にある「都萬」神社も「ツマ」と読む。したがって出発点がおかしいのである。
だが「都農」と「津野」という地名が江戸時代に併存していたことは間違いなく(詳しくは考察①参照)、地理的隣接する両者の地名を区別する必要性があると考える。そう考えると「津野」を「ツノ」と読み、「都農」をそれと区別する名で読んでいたと考えられる。
また「吐濃」(恐らく読みは「トノ」もしくは「トノウ」)という地名が「都農」の元の名であったことを考えると、「都農」を「トノ」もしくは「トノウ」と読んでいた可能性が高いと思われる。
以上のように出発点のおかしさは問題ではあるが、蓋然性の高さを根拠に「都農」の地名についての説はそのまま掲げておく。