ひょうすんぼ

宮崎の田舎町、都農町についてとその他色々

日吉神社の八王子山

 先日滋賀県にある日吉大社に行った時の話しである。西宮、東宮への参拝を済ませ、1キロほどの急な坂道を登り奥宮に辿り着いたところ、あるおばさんに声を掛けられた。この先にご利益のある場所があるのだけれど、道が整備されておらず一人で行くのは怖いのでついて来てもらえないかと。時間もあり、少し興味もあったのでついていくことにした。全く整備されていないわけでもないが、薄暗く半ば獣道のような道を5分ほど歩くと少し開けた場所に着いた。その真ん中に石がこんもりと積まれていて、一番上に八王子山と掘られた石が置かれていた。おばさんはこの場所が先程言っていたご利益のある場所なのだと言うと、持ってきたお神酒や線香、蝋燭を供え、涙を流しながら手を合わせていた。私は側にあった倒木に腰を掛けて待っていたのだが、しばらくするとごめんなさいねと言いながら、ここに来たわけを話してくださった。以前近しい人(恐らく娘さんだと思うのだが踏み込んでは聞けなかった)が癌になってどうしようもなくなったのだが、その時に天台宗の偉いお坊さんにどうすれば良いのか尋ねたところ、最澄の両親が最澄を生む際の安産を願った場所があるとしてこの場所を紹介されたという。そこでここに来て祈ったところ、治らないと思っていた癌が無事治ったので、その御礼参りと新たな悩みを聞いてもらうために来たのだという。そして続けて、君には今悩みがあるのかもしれないし、もしかしたらまだ若いから悩みはないのかもしれない。でもここに来たのは何かの縁だから、もし将来どうしようもない悩みが出来たらここに来なさいと。

 私にはそれほど大きな悩みはないし、理性というか余計な知識が邪魔してしまって純粋な信仰を持つことが出来ない。おそらく最澄を生む際に祈った場所というのも後世の作り話しであろう。しかしながらそれを信じられるというのが素直に羨ましかった。頭でっかちになってしまった自分とどちらがいいのだろうと思う。お金を巻き上げるだけの宗教はもちろん良くないとは思うが、信仰というものの存在意義というのは現代においても失われていないのだと、再認識した。

 

写真一枚目は奥宮から見た景色。坂本の町並みと琵琶湖、そして対岸の町並みが見える。

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写真二枚目は奥宮。国の重要文化財に指定されている。

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三枚目の奥に見える巨石が奥宮の御神体。この岩の裏へ回って八王子山へ行った。

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四枚目は八王子山の写真。

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